「見ざる 言わざる 聞かざる」
- allokstyle
- 7 日前
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日光東照宮に行ってきました。
小学校の修学旅行以来、うろ覚えのまま40余年。
現地に行ってみると、思っていた配置とは違うものですね。
さて、三猿の教えはずっと知っていたつもりでしたが、
新たな解釈が、心をスッと軽くしてくれました。
ここ最近モヤモヤと気になることがあり、何か解決策はないものかと思っていたのですが、
この三猿が教えてくれました。

三匹じゃなくて、十六匹。
日光東照宮の大きな鳥居をくぐり山門を入ると、すぐ左手に「神厩舎・三猿(しんきゅうしゃ・さんざる)/重要文化財」があります。
神厩舎は、ご神馬をつなぐ厩(うまや)です。
昔から猿が馬を守るとされていることから、約390年前に猿の彫刻が施された神厩舎が建てられました。
有名なのは三猿ですが、八面に渡って一生が描かれています。
三猿は二面目にありましたよ。

1.母子の猿
母猿が眺めているのは、我が子の未来
2.三匹の子猿
悪いことを、見たり聞いたり口にせず素直に成長してほしい、子への教え
3.座っている猿
親から離れたものの、言葉通り「一人立ち」する前の座っている猿
4.上を見る猿
二匹の猿が志を持って雲を見上げている、青年期
5.下を見る猿
下を知った猿・崖っぷちにたたされている猿、励ます猿
6.物思いにふける猿
恋愛中の悩ましさ、複雑な想い
7.結婚した猿
二匹で力を合わせて荒波を越える猿
8.妊娠した猿
子猿もやがて親となる。
また一面に戻る
「見ざる・言わざる・聞かざる」の意味
幼少期は何でも吸収してしまうので、悪いことを、見てはいけない、言ってはいけない、聞いてはいけない。という教えです。
論語に「非礼勿視、非礼勿聴、非礼勿言、 非礼勿動」(礼にあらざれば視るなかれ、礼にあらざれば聴くなかれ、礼にあらざれば言うなかれ、礼にあらざればおこなうなかれ)という一節があり、一説には「不見・不聞・不言」の教えを三猿で表しているとも言われています。
仏陀の教えは日々研究していますが、まだ論語についての研究はしていませんので参考まで。
ちなみに、古代インドの叙事詩『ラーマーヤナ』の主人公ラーマに仕えるのは、ハヌマーンという神猿です。
また、今年9月能登支援に行った際に参加させていただいた日吉神社の六保祭では、先導は道開きの神猿田彦を模していましたが、お面は天狗でした。


猿は、馬だけでなく人間や神様まで、何かと助けてくれる存在のようですね。
大人の「見ざる 言わざる 聞かざる」
モヤモヤと気になることがある時は、頭の中でぐるぐると再生を繰り返してしまいます。
考えても仕方がないのに、です。
心をスッと軽くしてくれた新たな解釈は、「モヤモヤを相手にしない」智慧です。
それは、
見なくていい。
言わなくていい。
聞かなくていい。
気になることに目をつむり、言い訳や文句を言わず、相手の言葉を内側に入れない。
そんな引き算の方法でした。
思考が落ち着くと、水面が静まるように鏡となってありのままの世界が映し出されます。
心にモヤモヤがある時は、歪んだ鏡に映るように世界が歪んで見えているのですね。
そんな時は、何もしないほうが良さそうです。

↓

モヤモヤは「こんな筈はない」とか、「こうあれば良かった」など、自分が望むベスト、またはベターな状況を渇望している時に起こります。
静かに戻ろうとする水面を、自分でかき混ぜているようなもの。
人生、いろいろあるのが人生。
世界は、良し悪しもなくただ世界です。
時が経てば必ず状況が変わる、諸行無常という自然の法も。
そうわかってはいるものの、どうにもならない時があるのが人間。
そんな時、時空を超えて助けけてくれるのが先人の教えです。
見ざる 言わざる 聞かざる。
今までずっと知っていた言葉の中に、知らなかった智慧が隠れていました。
世界的に有名な重要文化財「三猿」が、ハヌマーンのように時空を超えて、優しく心穏やかになる方法を教えに来てくれました。

薬草を取ってくるように言われ、山ごと薬草を持って飛んで帰ってきたハヌマーン!!
歪みのない世界は、すでに此処にある。
もっともっと刺激を求める五感、経験と記憶を元にAIのように次々と自動再生される思考。
アンタカラナについて知っておくと、自分を理解するのに役たちます。
↓
ヨガの古典ヨガスートラに記されている、好き嫌いの二重性や、サプタダーブーミ(理解の七つの階梯)については、また今度掘さげますね。
人間は、身体という無意識自動運転の乗り物に乗っています。
目を閉じて口を結び、静寂に耳を傾ける瞑想は、気づきを得る良い修習となりますね。
すでに此処に在る、それはそれは平穏で歪みのない自然で完全なる世界。
垣間見たいものです。
鎌倉ヨガ教室
中里






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