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「イライラと腰痛はどこへ?」 100歳になっても続けたい古典ヨガとは


「人生を豊かに生きる」古典ヨガのインストラクター

中里えみこ




体を動かすだけがヨガではない。

座学と実践で日常が快適になる

 体をひねる、合掌した手を天高く突き上げる。

全身の緊張をゆるめたり血流を促したりするヨガは、年代を問わず高い人気を誇ります。


「でもヨガの素晴らしさはそれだけではない」と話すのが、鎌倉や横浜などで「鎌倉ヨガ教室」を開く中里えみこさん。


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数々のヨガ流派の源流といわれる「古典ヨガ」を知ってほしいと、地域の人が集う市の施設やカルチャーセンターなどでレッスンを実施しています。 

「自身の内側と向き合い、この世界をありのままに観て感じ心豊かに生きるのがヨガの本当の目的。禅の世界に通じるものです。

柔軟性のあるポーズをとるといった肉体面だけでなく、内面を俯瞰(ふかん)し、自身で自分を邪魔しない生き方がヨガの魅力であり面白さです」 


ヨガにおける心身の調和を学ぶため、中里さんの教室ではいきなり体を動かすのではなく、座学からスタート。


社会問題や日常生活のもやもやなどをどう捉えるべきか、ヨガの精神と照らし合わせて生徒と話し合います。


対話を通じて偏見や思い込みなどの「思考の色眼鏡」に気づいたあと、呼吸に意識を向け、背骨をゆっくりと動かす練習に移っていきます。 「ヨガは『体がほぐれて気持ちいい。それでおしまい』というものではありません。


座学や修習を通じて心身を整え、気持ちを前に向ける実践法。人間のあるべき姿を研究した総合的な先人の智慧です。


いわゆる“アーサナ(ポーズ)”などはヨガ一部に過ぎません」。

フィジカルとメンタル、どちらも有りのままの力を引き出すのがヨガ本来のあり方と中里さんは話します。




ヨガに「一目ぼれ」

何気ない体験レッスンが人生を変えた

 レッスン時間は1回60〜90分。

座って背中を丸めて沈みがちだった生徒が、終わる頃には背筋が伸びて目に光が戻る。

中里さんは、そんな様子を何度も目にしてきました。

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週に8〜10本のクラスを持ち、軽度障害を持つ子どもたちのデイケア施設やグループホームにも月に数回訪れます。

生徒指導は数千人を越え、4年から7年長期継続して通っている生徒も。

老若男女問わず、心身に痛みのある方を指導できるのも強みです。


レッスンを終え、帰り際に生徒が見せる笑顔が何よりのやりがい。 

生徒の中には、がんを宣告され、不眠からうつ状態になった男性もいました。

中里さんが親身になって寄り添い、体を動かす指導と対話を繰り返すと、次第に元気を取り戻し「なぜあんなに落ち込んでいたのか」と笑うように。また、咳の薬を手放せなかった70代後半の女性も、ヨガを続けるうちに飲まずにいられるようになったといいます。 


「特にコロナ禍は、誰もが不安や閉塞感に苦しんでいます。

人生を前向きに捉えるための古典ヨガがこれからの時代、きっと役に立つはず」と中里さんは力を込めます。 


本格的にヨガに触れたのは38歳の時。それまでは健康やメンタルに無関心で、イライラや腰痛の悩みから解放されるとは思っていませんでした。


ところが、友人に誘われ体験レッスンを受けると心身が楽になり、まるで恋に落ちたようにヨガのとりこに。

「そして、ヨガを包括的に伝達するインド人のヨガマスターに師事。

ヨガの奥深さに、誰もが自分の可能性を惹きだすことが出来ると確信しています」




「おらも結構でぎっぺ」

東北被災地でのふれあいから指導の道へ

 ヨガを通じて、自分の中に気づきや成長があれば十分だったという中里さん。

転機は2011年夏。東日本大震災の被災地を訪れ、ボランティアをしていた時でした。


仮設住宅暮らしで運動不足になっている被災者や、家を無くしたことで精神的に落ち込み引きこもりがちになっている人たちを目にしました。

「いまこそヨガの力が必要では」と、インストラクターの資格を取得し再び現地へ。

最初、声をかけても誰も興味を持ってはくれませんでした。

ところがいざ始めてみると「仮設住宅のお母さんたちは編み物を中断し、『よっこいしょ』という感じでこちらを向いてくれました」とうれしそうな表情に。 

「ほら、おらも結構でぎっぺ」「まだまだ動けるもんだなぁ」。

笑顔で話すお母さんたちの姿を見て、ヨガによって元気を取り戻すことができると実感したといいます。


その後も継続して毎月被災地に出向き、第二の故郷を訪れるように支援に携わった中里さん。

自身の体験から得たヨガの意義を多くの人に伝えるべく「鎌倉ヨガ教室」を開講。

現在も自らの健康と指導力を高めています。 

近年は健康管理士の資格も取り、アロマテラピーなどを応用した体と心の整え方も提案。


オンラインレッスンを企画するなど、活動の幅が広がります。


「小さなお子さんを連れたお母さんやご夫婦、年配の女性など生徒さんはさまざま。

出会いを楽しみにしています」目標は、みんなに掛け値なしの笑顔と充実感を持ち帰ってもらうこと。


中里さんは、はつらつと語りました。


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出典:マイベストプロ神奈川 取材年月:2021年7月)

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